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腰椎椎間板ヘルニア後の運動はどう再開する?|ピラティスを始める前に確認したい8つのステップ

10 分前
読了時間: 12分

前回の記事では、腰椎椎間板ヘルニアになったとき、


「ずっと安静にしていればいいのか?」

「運動はいつから始めればいいのか?」

「ピラティスをしても大丈夫なのか?」


という疑問について解説しました。


大切なのは、

「運動するか、しないか」ではなく、今の症状に合わせて、どのように運動を再開するか

ということです。


では、実際に腰椎椎間板ヘルニア後に運動を再開するとき、どのような順番で進めればよいのでしょうか?


今回テーマは、腰椎椎間板ヘルニア後の運動はどう再開する?|ピラティスを始める前に確認したい5つのステップです。


腰椎椎間板ヘルニア後にピラティスなどの運動を再開するときの考え方を、5つのステップに分けて紹介します。


<著者プロフィール>

笑顔の男性のプロフィール写真と、高橋知幹(Tomoki Takahashi)の経歴紹介文。白背景に黒文字で、トレーニングや理学療法士などの実績が並ぶ。


<目次>


ヘルニアだから「このピラティス」ではない


まず、最初に知っておいてほしいことがあります。


腰椎椎間板ヘルニアがあるからといって、

「このピラティスをすればいい」

という一つの正解があるわけではありません。


※どの症状やケガであっても、◯◯だから、◯◯アプローチをするという正解があるわけではありません。当然、論文や書籍を読み、エビデンスの高いアプローチや過去の経験から得た知見を元にプログラムを組みますが、必ずしも正解があるとは限りません。だからこそ、幅広い知識と技術を持ち、目の前の方の最適解を探せることが求められます。


大切なのは、

症状を確認する

↓

動いて症状がどう変化するかを見る

↓

負荷の低い運動から始める

↓

少しずつ運動の範囲や負荷を高める

という考え方です。


つまり、

「ヘルニアだから、このピラティスをする」

のではなく、

「今の身体の状態を確認して、できるところから段階的に進める」

ことが重要です。


STEP1|まず「運動してよい状態か」を確認する


運動を始めるとき、最初に考えるのは、

「どのエクササイズをやろう?」

ではありません。


まず確認したいのは、現在の症状です。


例えば、

  • 腰の痛みはどの程度あるか

  • お尻から脚にかけて痛みやしびれがあるか

  • しびれはどこまで広がっているか

  • 脚に力が入りにくくなっていないか

  • 歩き方に変化がないか

  • 咳やくしゃみで症状が強くならないか

  • 排尿・排便に異常がないか

などを確認します。


腰椎椎間板ヘルニアでは、腰痛だけではなく、神経症状として感覚の変化や筋力低下などがみられることがあります。


特に、

筋力低下や麻痺、膀胱・直腸に関する症状

などがある場合には、自己判断で運動を進めるのではなく、まず専門医に相談することが重要です。


また、発熱、体重減少、夜間痛・安静時痛などがある場合も、運動だけで様子を見るのではなく、専門的な評価が必要です。


腰部周辺のみの痛み、しびれが出ていても、しびれが徐々に中心に集まってきていれば、回復傾向にありますので、運動再開の一つの目安になり得ます。


つまり、

運動を始める前に「今の身体の状態を確認する」

ことが最初のステップです。


STEP2|「動くと症状がどう変化するか」を確認する


次に大切なのが、

運動した後に症状がどう変化するのか

を見ることです。


例えば、

「腰を動かしたら痛みが出た」

というだけで、すぐに

「この運動はダメだ」

と判断するわけではありません。


重要なのは、症状がどの方向へ変化したのかです。


例えば、

脚の痛みやしびれが減って、腰のほうへ症状が集まってきた。

このような変化は、**centralization(中央化)**と呼ばれます。


一方で、

腰の症状だけだったものが、脚のほうまで広がってきた。

このような変化は、**peripheralization(末梢化)**と呼ばれます。


腰椎椎間板ヘルニアの回復期の運動においてcentralizationが運動開始の指標として示されており、peripheralizationがみられる場合には、過負荷の状態の状態のため運動強度を調整することが報告されています。


ここで覚えておきたいのは、

「運動した後に症状がある=必ず悪い」ではない

ということです。

それよりも、

「運動によって症状がどう変化したのか」

を見ることが大切です。


STEP3|腰椎を動かさない「分離運動」から


基本原則として腰椎を動かさずに手足を動かせる分離運動の獲得が欠かせません。

手を上げたり、足を動かしたりする時に、腰椎に過度な動きが加わる事が累積的に積み重なる事で負担になっていきますので、まずは動かさない安定性の獲得、動作パターンの獲得が重要になります。


動画ではストレッチポールの上に乗っていますが、マットの上で行っても構いません。

足を上げ下げする際に腰が反ったりせずに、コントロールしながら動かせるようになることがまずは大事です。



STEP4|次は「骨盤帯の軽い運動」へ


症状を確認し、運動を進められる状態であれば、いきなり強い筋力トレーニングを行うのではなく、まずは軽い運動から始めます。

回復期の運動として、

「骨盤帯の軽い運動」から始め、少しずつ脊柱の動きを大きくする

という流れが示されています。


ピラティスで考えるのであれば、例えば、

  • 骨盤の前後傾

  • 小さな骨盤運動

  • 呼吸と骨盤の連動

  • 小さな範囲での脊柱運動

など、身体を動かすことを再学習するような運動から考えていきます。


<方法>

1)膝と股関節が90度曲がった状態を作る様に椅子や台などに足を乗せます。

2)踵で椅子または台を押し、太ももの裏側に力が入っているのを感じとります

3)次にお尻の尾てい骨を天井に向ける様に骨盤を丸め、骨盤がわずかに床から浮きます。この時、腰は浮かない様に注意してください。あくまでも骨盤の動きですので、骨盤がわずかに丸まる動きがでていればOKです。

4)骨盤をわずかに浮かせた状態を保ったまま、深呼吸を行います。息をしっかりと吐き切ることが大事です。深く長く3呼吸しましょう。

5)お尻をゆっくり床に戻します。

これを3回繰り返します


ここで大切なのは、

「筋肉を追い込むこと」ではありません。

まずは、

痛みや症状を悪化させずに、自分の身体をコントロールして動かせること

を目指します。


そして動かしても痛くない、怖くないという体験を作ることが重要になります。


STEP5|少しずつ「脊柱の動き」を広げる


骨盤帯の軽い運動ができるようになったら、次の段階として、少しずつ脊柱の動きを大きくしていきます。


ここで重要なのは、

「ヘルニアだから腰を動かさない」

と考えないことです。


腰椎椎間板ヘルニアは、単一の姿勢だけによって生じるものではなく、椎間板の変性や力学的ストレスなど、複数の要因が関係しています。資料では、屈曲・伸展、圧縮、圧力などが組み合わさった累積的なプロセスとして説明されています。


背骨を動かす方向と背骨にかかる負荷には関連があります。

「運動方向と背骨にかかる負荷」の表。動作ごとの圧迫ストレス(N)を青地に表示し、屈曲1991、伸展1340、側屈2170、回旋5400、シットアップ3350と示す。

腰を捻る回旋の動きは最も腰にかかる負荷が強いため、段階としては最後に行うことが大事です。

症状を確認しながら、動かせる範囲を少しずつ広げていく

という考え方が重要になります。



<方法>

1)四つん這い姿勢がスタートです

2)息を吐きながら、首→背中→腰→骨盤の順に丸めていき、背骨全体で丸いカーブを作ります

3)丸めた位置で深呼吸しましょう。背中に空気が入る感覚を感じます。

3)息を吐きながら、丸いカーブが出来たら、戻るときは骨盤→腰→背中→首の順に背骨全体で反る動きを作ります

4)これを5回繰り返します


<ポイント>

・腰だけに意識を向けず、背骨全体でカーブが作れていることが大事です。

・動かすことで症状が末梢へ広がるなどの変化がみられる場合には、この種目の負荷が高い可能性があるため運動の種類や動かす範囲、強度を調整する必要があります。


STEP6|股関節のヒンジ動作を獲得する


腰椎椎間板ヘルニアになる方の多くは、股関節のヒンジ動作が失われています。


ヒンジ動作(ヒップヒンジ)とは、蝶番(ちょうつがい)のように股関節を軸として上半身を前後に傾ける基本動作のことです。

室内のヨガマット上で、青いTシャツと黒パンツの男性が前屈気味に姿勢を整え、集中した様子で壁際に立っている。

ヒンジ動作の特徴

  • 股関節が主動:膝ではなく、股関節を折り曲げるようにしてお尻を後ろに引きます。

  • 背中をまっすぐ保つ:腰を丸めたり反らせたりせず、背骨の自然なライン(ニュートラルポジション)を維持します。多くの腰痛者がヒンジ動作が出来ずに、腰が丸まってしまったり、腰を過剰に反らせてしまい、腰に過度な負担がかかっていますので、この股関節のヒンジ動作の獲得は欠かすことができません。

  • ハムストリングスの活用:お尻(大臀筋)や太ももの裏側(ハムストリングス)の筋肉を効果的に使います。骨盤コントロールに欠かせないハムストリングスが機能しやすくなります。


<ヒンジリーチ>



方法

1)膝を軽度曲げた立ち姿勢がスタート。膝の角度は変えない

2)右手の前にストレッチポールを置き、右手を前に伸ばすと同時に、右足を後ろに伸ばす

3)この時、背骨が丸まったり、反ったりせずに頭から足先まで一直線を保つ

4)左股関節の付け根が曲がり、太ももの裏の筋肉が伸ばされているのを感じる

5)立ち姿勢に戻ってくる。1)~5)の過程で膝の角度は軽度曲げた角度から変えないこと


STEP7|体幹の安定性、剛性を高める


体幹トレーニングといえば、プランクが王道ですが、実はこのプランク、腰に対する負荷が高いと言われています。


グレーのスタジオで、黒い服の男性が前腕プランクをしている。真剣な表情で、スポーティーな雰囲気。

特に体を固める緊張癖のある方にはオススメできません。

プランクはしんどいのでトレーニングをやった感はありますが、実生活に活用できる事は少ないです。

よく60秒間プランク姿勢をキープをすることをやったりすることがありますが、60秒間、体を固めていることが実生活でありますか?

ないですよね、、、、

プランクに60秒の時間を費やすのであれば、別のエクササイを行った方が効果的です。


プランク系のエクササイズ中でも横向きのサイドプランクは腰への負担が少なくオススメです。



<方法>

・肩の真下に肘をついた横向きになります

・お尻を持ち上げて、肘と足で体を支えます

※はじめは膝を曲げて、肘と膝で体を支えるところから始めることを推奨します

※ある程度、肘と足で体を支えられる様になってきたら、ゴムチューブを引きながら、姿勢をキープできるようにすると体幹がさらに安定します


STEP8|体幹・下肢の運動から、日常生活・スポーツへ

脊柱を動かすことに慣れてきたら、徐々に身体にかける負荷を高めていきます。

例えば、

分離運動

↓

骨盤のコントロール

↓

脊柱のコントロール

↓

股関節のヒンジ動作の獲得

↓

体幹の安定性/剛性の獲得

↓

立位での運動

↓

日常生活・仕事・スポーツ

例えば、

  • スクワット

  • ヒンジ

  • ランジ

  • 歩行

  • ランニング

  • スポーツ動作

など、その人が最終的に必要とする動きへつなげていきます。

ピラティスだけにこだわる必要はなく、

大切なのは、

「ピラティスができるようになること」ではなく、その先にある生活や活動に戻ること

です。


「ピラティスができる」がゴールではない

ここは、腰椎椎間板ヘルニア後の運動を考えるうえで、とても大切なポイントです。


例えば、

「ゴルフを再開したい」

という人がいたとします。


その人にとって、ピラティスをすること自体が最終的な目的ではありません。


ピラティスは、

ゴルフに戻るための身体づくりの一つの方法

です。


同じように、

「子どもを抱っこしたい」

「長時間座って仕事をしたい」

「ランニングを再開したい」

「また野球をしたい」

など、人によって戻りたい場所は違います。


だからこそ、

ピラティス → トレーニング → 日常生活・仕事・スポーツ

というように、最終的にはその人がやりたい活動へつなげていくことが大切です。


ヘルニア後の運動再開を5ステップで考える

ここまでの内容をまとめると、腰椎椎間板ヘルニア後の運動再開は、次のように考えることができます。


① 症状を確認する

痛み・しびれ・筋力・歩行などを確認する

↓

② 動いて症状の変化を見る

centralization / peripheralizationを確認する

↓

③分離運動

腰椎を動かさないで手足を動かす安定性と動作パターンの獲得

↓

④ 骨盤帯の軽い運動

症状を悪化させない範囲で、身体を動かす

↓

⑤脊柱の動きを少しずつ広げる

症状を確認しながら、運動範囲や負荷を増やす

↓

⑥ 体幹・下肢から日常生活・スポーツへ

最終的な目的の活動に近づけていく


この流れで大切なのは、

「できることを増やしていく」「痛くない動きや怖くない動きを増やして」

という考え方です。そうすることで脳の中で動かしても痛くないという神経回路が構築されていきます!


ただし、全員が同じ順番で進むわけではありません


ここまで5つのステップを紹介しましたが、

すべての人が同じ運動、同じ順番、同じ期間で進めるわけではありません。

腰椎椎間板ヘルニアでは、症状の出方や神経症状、日常生活の状況などが人によって異なります。

そのため、

「ヘルニアになったら、この順番で行えばいい」

と考えるのではなく、

「今の身体は、どこまでの運動なら問題なく行えるのか?」

を確認しながら進めることが大切です。


また、今回紹介した「分離運動→骨盤帯の軽い運動→脊柱の動き→ヒンジ運動→体幹の安定性/剛性→体幹・下肢→日常生活・スポーツ」という流れは、運動再開の考え方を整理したものであり、具体的なプログラムの順番を示したものではありません。


同じ「骨盤運動」でも、身体の状態によって適切な方法や範囲は変わります。


ピラティスは「目的」ではなく、身体を再建するための方法

TWO-WAYでは、ピラティスそのものをゴールとは考えていません。

ピラティスは、自分の身体を知り、動きを学び、できることを増やしていくための一つの方法です。


腰椎椎間板ヘルニア後も同じです。

まずは現在の身体の状態を確認する。

そこから、できる運動を始める。

少しずつ動ける範囲を広げる。


そして最終的には、

「ピラティスをするための身体」ではなく、「自分がやりたいことができる身体」

を目指していきます。


腰椎椎間板ヘルニア後の運動で大切なのは、

「いつから始めるか」だけではありません。

「今の自分なら、どこから始められるか」

を考えることです。


そして、少しずつできることを増やしていく。

それが、運動を再開し、その先の生活やスポーツへ戻っていくための大切な考え方です。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

『腰椎椎間板ヘルニア後の運動はどう再開する?|ピラティスを始める前に確認したい8つのステップ』はいかがでしたか?


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