慢性腰痛に分節運動が重要な2つの理由|多裂筋を整えるピラティスエクササイズ
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更新日:4 時間前
腰痛がある方に見られる多裂筋(体幹のインナーマッスルの一つ)の変化として、腰痛がある方の多裂筋の萎縮や脂肪化などの変化がみられることがあります。(Crawford RJ et al. 2021)
また、急性腰痛の段階から、痛みがある側の多裂筋に萎縮の変化が確認された研究(Hides.1994)があったり、痛みが落ち着いた後も、多裂筋の機能が自然に元へ戻らない可能性を示した報告(Hides.1996)もあります。
つまり、慢性的に腰痛が続いている方では、多裂筋の萎縮や脂肪浸潤、活動タイミングの変化がみられることがあります。
多裂筋の機能低下が起こっている状態になっているため、この状態で日常生活やスポーツを行うと腰にかかる負担は高くなり、腰痛を繰り返しやすくなります。
※前回の『腰痛と多裂筋|繰り返す腰痛で見直したい「腰の感覚」と運動制御とピラティス』を読んでいない方は、まずこちらの記事からお読みください。
多裂筋の機能を高めていくためには、背骨の分節運動を行う事が重要になります。
そこで今回のテーマは、
『慢性腰痛に分節運動が重要な2つの理由|多裂筋を整えるピラティスエクササイズ』
について、腰痛専門スタジオの理学療法士が徹底解説します。
<著者プロフィール>

<目次>
①分節運動とは
腰痛を繰り返す方のなかには、「腰を動かすのが怖い」「反ると痛い気がする」「丸めると違和感がある」と感じる方がいます。
痛みが続くと、身体は無意識に腰を守ろうとします。その結果、腰を固めすぎたり、股関節や胸郭を使えず腰だけで動いたりすることがあります。
このような方に必要なのは、いきなり負荷の高い腹筋運動や背筋運動ではありません。
まずは、背骨がどのように動いているのかを感じることが重要です。
そのために活用するのが、分節運動です。
分節運動とは、背骨を「まとめて」ではなく「一つひとつ」動かす練習です
分節運動とは、背骨を大きく一塊として動かすのではなく、一つひとつの椎骨の動きを意識して動かす練習です。
ピラティスでは、これをArticulationと呼ぶことがあります。
代表的な分節運動には、次のような種目があります。
1)ヒップリフト
2)キャット&キャメル
これらの運動は、腰を無理に柔らかくするためのストレッチではありません。
目的は、腰椎や骨盤の位置を感じること腰を必要以上に固めずに動かすこと背骨を動かす感覚を再学習することです。
背骨をしっかりコントロールして動かすことができるようになると、自分の体の位置を脳が理解できるため、『今自分の身体はどちら側に傾いているのか』という事や、『どちらの方向に動いているのか』といったボディイメージが明確になっていきます。
そして、背骨のコントロールをできるようになってから、肩関節や股関節のエクササイズに進み、更に膝や肘、手足といった体から離れた部分のエクササイズに進んでいくことで、自分の身体の認識が中心から末端に向かって広がっていくようになります。
②なぜ腰痛がある方に、分節運動が必要な2つの理由
1)身体認知を高める
腰痛があると、身体の位置を正確に感じにくくなることがあります。
自分では腰をまっすぐにしているつもりでも、実際には反っている。骨盤を動かしているつもりでも、胸だけを動かしている。股関節を使っているつもりでも、腰が先に動いている。
このような認識のズレがあると、運動中に腰へ負担が集まりやすくなります。
分節運動では、動きを小さくします。小さく動かすことで、身体がどこから動いているかを確認しやすくなります。
たとえば骨盤を後ろへ傾ける時。腰椎の下の方から、少しずつ背骨が丸くなる感覚を探します。
骨盤を前へ傾ける時。腰を大きく反らせるのではなく、腰椎が穏やかに伸びる感覚を確認します。
このような練習を通して、背骨の位置覚や動きのコントロールを整えていきます。
多裂筋は「腰を動かす筋肉」ではなく、細かな動きを調整する筋肉です
多裂筋は、背骨の一つひとつをつなぐ深層筋です。そのため、分節運動では多裂筋だけでなく、回旋筋や腰方形筋の深層部なども含めた深部筋群の協調が求められます。
分節運動の目的は、多裂筋を強く収縮させることではありません。むしろ、次のような能力を取り戻すことです。
背骨の位置を感じる
腰を過剰に緊張させずに動かす
骨盤と腰椎のつながりを理解する
必要な範囲で腰椎を動かす
動いた後に腰椎を安定させる準備をする
つまり、分節運動は、筋肥大のためではなく、脳と身体の連携を整える運動学習です。
2)アウターマッスルの過剰な緊張を抑える事
アウターマッスルは、体の表層にあり、大きな力を素早く出すための筋肉です。いわば「大雑把に大きなパワーを出す装置」です。ここがガチッと力んでしまうと、背骨全体がコルセットで固定されたような「背中が硬い板」になってしまいます。なおかつ疲れやすい性質があります。

アウターマッスルが過剰に働くと、背骨の1個1個をコントロールする微細なインナーマッスル(多裂筋など)がサボってしまい、細かなコントロール(分節運動)ができなくなります。
つまり、背筋がガチっと固まった状態では、分節運動に必要な多裂筋が伸ばされながら背骨を支える遠心性収縮でのコントロールができなくなってしまいます。
結果として、背骨の中で「動く場所」と「全く動かない場所」に分かれてしまい、動く特定の部位(主に腰椎)だけに負担が集中して腰痛の原因になります。
分節運動を行うメリットとして、アウターマッスルの過剰な緊張(力み)が抜けて、分節運動ができるようになると、力み癖がなくなり、無駄な力が入らなくなったり、疲れにくくなります。
また、ある研究では、分節運動のような低負荷の運動を上手にできない動作は、痛みを誘発するリスクが高い(O'Sullivan.2006)という報告があるように、痛みの予防にも繋がります。
背骨の周りには自律神経が通っているため、背骨が柔らかくなることで自律神経の安定にもつながることが考えれます。
③おすすめの分節運動『あぐらRoll Down』
【あぐらRoll Down】
美味しそうな名前のエクササイズですが、コントロールするのは難しいエクササイズです。
あぐらをかいてRoll Downを行います。背骨の分節運動エクササイズです。
目的
背骨の分節的な動きを学ぶ
下腹部の収縮を感じる/背骨の多裂筋のコントロール
方法
あぐらをかいて座ります。
息を吸って背を高くします。
息を吐きながら、背の高さを保ったまま、骨盤をわずかに後ろに傾けながら背骨を丸めていきます。
床に仰向けになります。
息を吐きながら、頭から胸、背中、腰と順番に起き上がっていきます
最後にスタートの姿勢に戻ってきます。これを5回繰り返します。
ポイント
起き上がって戻って来れる範囲で行います。
無理に反動をつけて起き上がらない事。無理なく起き上がれる範囲で行うことが大事です。
難しい場合を腰に柔らかいボールを置いておくと感覚を掴みやすくなります。
痛みが出る範囲では行いません。
呼吸を止めないことが大切です。
あぐらRoll Downは、反動をつけて起き上がる運動ではありません。「自分の骨盤と腰が、今どの位置にあるか」を感じる練習です。
④分節運動の次に必要なのは?
分節運動の次に必要なのは「腰を動かさずに支える能力」です
分節運動は、腰を動かす感覚を取り戻すために必要です。しかし、日常生活やスポーツでは、腰を動かすだけでは不十分です。
歩く時。荷物を持つ時。片脚で立つ時。腕や脚を大きく動かす時。
このような場面では、腰椎は必要以上に動かず、安定している必要があります。
そこで次の段階として必要になるのが、Bird Dogのような安定化エクササイズです。
分節運動とBird Dogは、どちらか一方だけを行えばよいものではありません。
分節運動 | 安定化運動(Bird Dogエクササイズ) |
腰椎を動かしながら認識する | 腰椎を安定させながら手足を動かす |
固有感覚と運動学習が中心 | 抗回旋と体幹安定性が中心 |
低負荷で始めやすい | 分節運動の次に進めやすい |
「動かす能力」を整える | 「支える能力」を整える |
TWO-WAYでは、1人ひとりの身体の状態を見ながら、プログラムの順番を組み立てていきます。
『慢性腰痛に分節運動が重要な2つの理由|多裂筋を整えるピラティスエクササイズ』はいかがでしたでしょうか?
次回予告|腰の安定化エクササイズ「腰を動かさずに支える能力」について解説します。
柔軟のストレッチだけしていても腰痛を繰り返す方にとって重要なエクササイズですのでお楽しみに。
腰痛を運動で再建する|恵比寿TWO-WAY
TWO-WAYは、単なるピラティススタジオや単なるパーソナルジムではありません。
腰痛の背景にある動きの問題を確認します。身体の位置をどう認識しているかを見ます。そして、腰を守りながら動ける段階から身体の使い方を再教育します。
腰痛があるから運動ができないのではありません。自分の腰に合う運動の順番を、まだ知らなかっただけかもしれません。
ご予約・ご相談は下記の『初回体験はこちらからクリック』からお問い合わせください。
※分節運動がすべての腰痛に適しているわけではありません。※運動中または運動後に痛みが強くなる場合は中止してください。※強い痛み、しびれ、筋力低下、排尿・排便の異常がある場合は、運動を自己判断で続けず医療機関へご相談ください。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。



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